天皇陛下(今上天皇)が生前退位、2019年5月1日には皇太子徳仁親王が新天皇として即位、そして改元による新元号という、皇室・天皇家に大きなイベントのある今年。
生前退位、即位、元号、天皇誕生日などを英語で説明するにはどう表現すればいいでしょうか?
政府やメディアが使う正式訳語は、海外からのゲストにはわかりづらいものです。
ですから、公式の訳語にこだわらず、わかりやすい英語表現で伝えることをお勧めします。
なお、2019年のイベントではなく、一般的な皇室・天皇家に関する英語表現については、
こちらのブログ記事をご覧ください -> 天皇家について英語で説明する
また、新元号と万葉集についての説明はこちらの記事をどうぞ -> 新元号「令和」と万葉集を英語で説明する
天皇の生前退位を英語で説明する
「退位する」の直訳には abdicate という動詞があります。
この動詞はネイティブスピーカーにはほぼ通じます。
ですから相手がネイティブの場合は、
Current Emperor Akihito will abdicates the throne.
が基本表現です。
(throneは王座という意味です。)
ただし、ガイドしているゲスト(または外国人のお友達や知り合い)がネイティブとは限りませんよね。
その場合、abdicateはいわゆるビッグワード。
この単語をご存知ない場合も多いです。
そのような場合、
Current Emperor Akihito will leave the throne.
でいいですよね。
この表現をベースに、生前というニュアンスと背景を入れると
Current Emperor Akihito decided to leave the throne.
で簡単に伝わります。
新天皇の即位を英語で説明する
次に、皇太子殿下の新天皇としての即位を説明しましょう。
まず、皇太子の訳語は Crown Prince です。ただし、イギリス王室の the Prince of Wales と同じと付け加えた方が良い場合があることは、天皇家について英語で説明するで説明したとおりです。
「即位する」の英語表現にはいくつかの選択肢がありますが、私がよく使うのは assume the throne です。
その他 ascend to the throne、be enthroned なども知っていて困らない表現ですが、
ガイドとしてこの出来事を説明するには、一つのパターンを覚えておけば良いでしょう。
ということで、
Crown Prince Naruhito will assume the throne.
が基本表現として使えます。
しかしこの表現も、ネイティブでないゲストには???となる場合があります。
その場合は、退位の場合と同じように簡単な動詞に置き換えることができます。
Crown Prince Naruhito will take the throne.
生前退位、即位を合わせて説明すると、
Current Emperor Akihito will leave (またはabdicate) the throne on April 30 and his son, Crown Prince Naruhito, will take (またはassume) the throne on May 1.
となります。
これだけ言えれば、何が起こるのか伝わりますよね。
ちなみに、2019年5月1日の新天皇即位後に説明する場合は、will leave -> left、will take -> took と動詞を過去形にするだけです。
なお「生前」という言葉を無理やり訳す必要はないと思います。
だって、この説明文を聞けば、生前であることははっきりわかりますよね。
もうちょっと詳しく説明したい方のために、こんな例文を書いてみましたので、よかったら参考にしてくださいね。
There is a big event in Japanese royal family this year.
Current Emperor Akihito will abdicate the throne on April 30 and his son, Crown Prince Naruhito, will assume the throne on May 1.
His predecessors did not abdicate while they were alive and that makes him the first one to do so in 200 years.
There are many festivities planned around the coronation* and the government announced to make May 1st a holiday this year, which makes 10 consecutive days off for many people combined with weekends and annual holidays around that time.
*即位式典の訳語は、enthronement ceremonyとされていますが、英語ではcoronationのほうが一般的で通じやすいと思います。
改元と元号を英語で説明する
※新元号と万葉集についての説明はこちらの記事をどうぞ -> 新元号「令和」と万葉集を英語で説明する
新元号について説明するためには、まず日本独自の元号について説明する必要がありますね。
元号 の直訳は era となっていますが、 eraは代、時代、出来事といった意味の言葉ですから、これだけではなぜ天皇が変わることで元号が変わるのか伝わりません。
ですから、元号について話す時は、それが天皇の在位(本来は治世)と関係していることを話します。
新天皇の即位にともなって新しい元号が始まり、退位によってその元号は終わります。
New era begins with coronation of new emperor and ends with his abdication.
とも言えますが、私はシンプルに元号=在位期間という説明をします。
The era in Japan correlates with reign of each emperor.
この方がわかりやすいですよね?
eraをperiodという場合があるのは、つまりは在位「期間」と同じだからですし。
平成は4月30日まで、5月1日より新元号となります。
Current era Heisei ends on April 30 and new era will begin from May 1.
新元号は4月1日に発表されます。
Name of the new era will be announced on April 1.
元号は多くのコンピューターシステムで使われているため、改元にともなうシステム変更をしなければいけません。
Japanese era is used in many computer system. They have to adapt the system to new era.
脱線しますが、元号とコンピューターシステムに関する話の種になるトリビア…
昭和から平成になったときに比べると、今回は事前に改元の日時もわかっていますし準備ができるという違いがあります。当時はシステム上は昭和年号を使い続けるなどの回避策が取られましたね。
また、2000年問題によるトラブル回避のため西暦を避けて二桁の元号を使うという方法が多くの企業で取られていたことも日本ならではの逸話です。
天皇誕生日が変わることについて英語で説明する
これはどちらかというと日本に住んでいる外国の方と話す際の話題ですね。
天皇が変われば天皇誕生日となる祭日も変わるということは当然ですが、日付と、2019年にはその祭日がないことが話題になります。
The Emperor’s birthday is a national holiday in Japan.
We have observed current Emperor’s birthday on December 23.
With change in throne, we will start observing new Emperor’s birthday as a national holiday starting in 2020.
Since to-be Emperor Naruhito’s birthday is February 23, there won’t be any Emperor’s birthday as a holiday in 2019.
いかがでしたでしょうか。
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