イギリス王室(Royal Family)のロイヤルウェディングが大きなニュースになりましたが、日本にもRoyal Familyがあります。
日本語では王室ではなく、皇室と呼びますが、英語では同じロイヤルファミリーになります。
みなさん、日本の皇室・天皇家のことを英語で説明できますか?
注:2019年の天皇の生前退位、新天皇の即位、新元号、天皇誕生日などについては、こちらの記事をご覧ください -> 天皇の生前退位、新天皇の即位、元号について英語で説明しよう
皇室は神道とつながりがあることから日本人の宗教観とも深く関わっており、デリケートな話題ですね。そのため、日本語でも話すことがないという人も多いと思います。
でもそんな日本国内の事情は、外国の方にはわかりません。イギリス王室について語るときのように、オープンに話せることとして質問されることが普通です。
ガイドなら、個人の信条はさておき、客観的に説明できなければいけません。そこをうやむやにしてしまっては、日本文化を紹介するガイドとはいえないでしょう。
ということで、今回は、日本の皇室について説明する際の英語表現を紹介します。
天皇家に関する英語
まず、単語をまとめます。
皇室:Royal Family
天皇家: Imperial Family
天皇:Emperor
皇后:Empress
皇太子:Crown Prince
親王:Prince
内親王:Princess
宮内庁:Imperial Household Agency
皇室と天皇家は同じことを指しますが、直訳すると英語が変わってきます。ただ、ガイドの際はRoyal Familyで統一したほうがわかりやすい場合が多いと思います。
お客様によっては、Emperorという言葉を使って質問される場合があり、そのときはImperial Familyという表現も使います。
日本の皇太子はCrown Princeという表現をつかいます。ちなみにイギリスの皇太子にはThe Prince of Walesという独特の表現があります。同義であることを伝えるために、そちらも覚えておいた方がよいでしょう。
現代日本社会の中の皇室について
私たちは天皇は日本の象徴であると習い、天皇家に関するニュースも多く見てきました。そのため、日本人の間では説明する必要がない当たり前のこと。
でも、そこが一番外国の方にとっては不思議なのです。そこを説明せずスルーというのはありえません。
個人の信条は置いておいて、最低でも教科書的な説明はできるようになりましょう。
とはいえ、天皇は象徴… ってどういえばいいのでしょう?
日本国憲法 第一条
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
これ、日本語でもわかりづらいですね。公式訳では、
The Emperor shall be the symbol of the State and of the unity of the People, deriving his position from the will of the people with whom resides sovereign power.
となっています。
これを丸覚えするの・・・?
いえいえ、それはオススメしません。ご自分が旅行先の国で説明を聞いていると思ってください。この説明ではわかりづらいですよね。
わかりやすく概略を伝えましょう。
わたしなら、
After the World War II, the emperor became the symbol of Japan under the new constitution.
と言います。
え、それだけ?
それだけです。
すると続いてたいてい「皇室は人気があるの?」「みんな皇室を認めているの?」という質問がきます。日本人同士の会話ではあまり話題にしませんが、海外からのゲストにとっては純粋に興味があることなのです。
海外のサイトでは、How popular is Japanese royal family?といった投稿や記事も見られますが、イギリスやヨーロッパの王室と違い、日本ではこの質問をすること=データをとること自体がタブーです。
ですから、データをもとに説明することはできませんが、通訳ガイドは通訳と違って自分の意見を言うことができますから、ここはみなさんそれぞれ答え方があるでしょう。
私は客観的に、It is widely supported. と答えます。
ちなみに、日本国憲法 第一章 天皇 の公式訳は官邸ホームページに掲載されています。覚える必要は全くありませんが、背景知識として一読されておくと良いと思います。
また、「天皇はどこに住んでいるの?」というのもよくある質問です。
The royal family lives in Imperial Palace in Tokyo.
とシンプルに答えれば良いと思います。
皇居が見える場所で説明しているときや、皇居のそばを通るルートのときなどは、もちろんもっとくわしく説明してもよいと思います。
皇居はImperial Moat(皇室のお堀)とも言うんですね。これは実際見えるときには良い言い方だと思います。
皇室の歴史について
ヨーロッパなど海外の国での王位争いの話は多くの小説や映画にもなっていますね。それに、日本の皇室は、世界でもっとも長く続いている王室ですから、当然その歴史はみなさん興味のある話題です。
伝説 mythology から始まっているものの、実在が確認できている天皇から数えたとしてもすでに1500年以上続いていることになります。その話だけで驚かれます。
天照大神(あまてらすおおみかみ)から続く血筋が数千年続いていると言われています。
It is said that the unbroken line of descent from the Great Sun Goddess continues to today from some thousands years ago.
歴史上、形式的な存在 figurehead だった時期も長かったのですが、明治から終戦までは現人神として不可侵の存在とされました。
Emperors had been figureheads for a long time over the course of history. Then, the emperor was considered an inviolable living god during the period between the opening of the country in the 19th century and the end of the war in 1945.
現在は政治的権力のない象徴的存在とされています。
After the World War II, the emperor became the symbol of Japan without any political power.
いかがでしたか?
少しでも参考になればうれしいです。
ガイドは人と人とのコミュニケーションですから、突っ込んで聞かれることもあります。
また、ガイドのときだけでなく、海外にホームステイに行った際なども、日本の皇室について説明する機会は結構あります。
ですから、自分の意見をしっかり言えるように準備しておくことも大事だと思います。
最後に、これはめったにありませんが、天皇家の存在についての海外からの反応について聞かれた場合の準備もしておいた方が良いと思います。
国によってはこの件をdisputableと捉えていることもあります。
ガイドとしては避けて通れないところですから、念のため準備をしておきましょう。
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