和食のだしとうまみ(旨味)を英語で説明する

和食に欠かせない「だし (dashi stock)」と、だしからうまれる「うまみ (umami)」。

「だしって何? What is dashi stock?」
「なぜだしをとるの? Why do you use dashi stock?」
「どうやってだしをとるの? How do you make dashi stock?」

こんな質問に、どのように英語で説明すればわかりやすいでしょうか。

その前に、上記の質問に、日本語で答えられますか?

結構むずかしいですよね(^^;

海外で和食でおもてなしをしたり、日本でガイドをするとき、私たちにとって日常で当たり前のことほど説明が難しいことに気づいたりします。

和食にだしを使うことは知っていても、だしの取り方やどんなときにどのだしを使うかもわからない!という方もいらっしゃるかもしれません。

私もガイドの勉強をするまで「だしをとるのは味わいが深くなるから We use dashi stock to add savory flavor.」くらいの説明しかできませんでした。

「うまみ」については「考えるとつばが出る It makes your mouth water when you think about it.」ということしか… 汗

ということで、今日はみなさんが「だし dashi stock」と「うまみ umami」を英語ですっきり説明できるようになるための知識と英語表現をカバーしたいと思います。

これで和食の基本「だし」の説明は準備オッケーです!

だし

「だし」を感じで書くと「出汁」。漢字にすると意味がわかりやすいです。

かつお節 (bonito flakes)、昆布 (kelp)、煮干し (dried sardine) などを煮出した汁のことをさします。

いずれも「うまみ」の主な成分であるグルタミン酸 (glutamine acid)やイノシン酸 (inosinic acid) を多く含むため、だし汁を料理に使うことで「うまみ」による繊細な味わいが加わります。

西洋料理の食材でうまみ成分が多いものにはトマトやチーズがありますが、トマトを1とすると、なんと昆布にはその10から22倍のグルタミン酸が含まれています。チーズは昆布の1/2から1/3のうまみ含有量です。イタリア料理でトマトとチーズを組み合わせることが多いのも納得ですね。

だしに使われる材料のうまみ含有量からみると、だしを使った和食こそ、世界でもっとも「うまみ」の強い食事といえます。*

*かつお節はグルタミン酸よりイノシン酸の含有量が多いので、チーズやトマトと単純比較ができません。

うまみ

「うまみ」が「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」につづく第5の味覚 (the fifth taste sensation) として認定されていることをご存知ですか?(日本の科学者が発見したため、英語でもUmamiと言います。アクセントはmaにあるので「うまーみー」と言った方が近い発音になります。)

人間の舌には、「うまみ」を感じる味蕾(みらい)があります。日本人だからその味蕾が多いわけではなく、全人類に共通のものだそうです。

日本人がだしを使うことでもっとも「うまみ」の強い料理を作り出すことに成功したわけです。

外国人の知人から「しょうゆ (soy sauce)を買ってレシピをみながらライススープ(説明によると寄せ鍋のような料理)に使ったけれど、和食レストランで食べたような味にならない」と相談されたことがあります。よく話を聞くとだし(dashi stock)の代わりにチキンブイヨン(chicken stock)を使ったということでした。
レシピに”stock”と書いてあったなら、英語圏の人ならキッチンにあるチキンやビーフのブイヨンを使ってしまうこともあるわけです。
でもそれでは「だし」の「うまみ」からくる和食の味わい深さは出ませんよね。
その知人には、海外でも比較的手に入りやすい粉末だしのことを教えました。

だしの種類とだしのとり方

かつおだし*:かつおぶしを熱湯に入れ数分煮出したあと、かつお節をこしとって残った黄金色のだし。
Boil bonito flakes in boiling water and take them out after a few minutes. It leaves golden colored liquid stock.

昆布だし:小鍋に水と10cmほどの昆布を入れ火にかけ、沸騰する直前に昆布を取り出す。ほんのり緑のだし。
Put kelp and water in a pot and turn on the heat. Remove the kelp right before the water boils. It is slightly green colored liquid stock.

混合だし:かつおだしと昆布だしを組み合わせたもので、上等なだしとされる。
Mixed dashi stock uses both bonito flakes and kelp. It gives strong savory flavor.

*かつお節については無料メールマガジンでも詳しく書きました。興味がある方はぜひ購読をお申し込みください。

和食とだし

和食とだしの関係を説明しても、寿司以外の和食を食べなれていない人には???かもしれません。

そのときはみそ汁の話をしてみてください。
みそ汁 (miso soup) は海外の寿司レストランでも必ず出ますから、みそ汁のうまみのことを言うと「あーわかった」となる方が多いです。

「和食では、みそ汁など汁物には必ずだしが使われています。」
Soup in Japanese food always uses dashi stock.

「うまみがある食べ物は、食欲をそそります(直訳:よだれが出ます)」
Food rich in umami flavor is mouth-watering.

いかがでしたか?
少しでも参考になればうれしいです。
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余談:参考書、そして、わたしはどうやってだしをとっているか

だしについて、一番参考になった本は、じつは日本の本ではなくて、イギリス人のマイケル・ブース著 「英国一家、日本を食べる」でした。(原題は、”Sushi and Beyond” 絶妙なタイトルですよね)

この本のだしについての章は、おもしろいだけでなく、目からうろこのびっくり情報がたくさんなので、本当におすすめです。

      
日本語版       オリジナル英語版

じつは私、この本を読んでから、かたまりのかつお節とかつお節削り器を購入し、だしをとる度に削るようになりました。
イギリス人の方が書いた本で、日本人の私がかつお節をはじめて買ったわけですよ。
それまでCostcoで削り節の大きなパックを買っていましたが、削りたてのかつお節でとっただしの香りとうまみは感動もので、もうやめられませーん!

ちなみに私がいつも買うかつお節はこちら
削り器は2つためして、これに落ち着きました。これの方が刃の調整がしやすいです。

参考:うま味インフォメーションセンター

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